教室のカメラ
2019/05/22
カメラ
料理写真教室フェリカスピコではご参加いただく時のカメラについて基礎ではなんでもOKとHP上に明記しています。最近ではコンパクトデジカメの需要も落ち、逆にスマートフォンがその携帯性という役割を担っているので、ご参加される方の中にはiPhone、Android問わずスマホを持ってきてくださる方も増えてきました。写真は先日の日本協同組合連携機構様主催の食育ソムリエ生産者コース 試食会で撮影された写真。右がミラーレスで、左がスマートフォン。どちらも食材の艶や立体感をしっかり表現できています。いってみればスマートフォンでもちゃんと撮れるんです。
ただ、なんでもスマホでいいのであればカメラの必要はなくなってしまうのですが、それらの違いをしっかり認識していくことも大事なので、教室の冒頭ではスマホって、カメラってどんなカメラなのかということについても言及しています。トップの写真でわかることは、まずボケに違いがあります。背景をぼかすという表現は「ここを見て」と写真でいうことができる大事な表現方法です。ボケはレンズの口径の大きさでその具合が代わり、目が大きいほどぼかすことが得意になってくるので、スマホの小さなレンズだとなかなかボケも表現できません。なので、まずはミラーレスや一眼レフはボカすことと、ボカさないことの両方ができる表現の幅の広いカメラ、逆にスマホはボカさないということができる表現の幅の狭いカメラだという説明をしています。近年ではiPhoneをはじめGALAXY、Huaweiなどレンズが複数ついているタイプのものはボケも表現できますが、試しにつかってみるもののまだ完全ではないと思っています。とくにiPhoneのポートレートモードは被写体との間隔をあるていどあけなければならないなど、人物ならともかく料理写真で近づけないというのは結構痛い感じがしますし、その機能がついていても使うのは初めだけ、結構みんな手間がかかるからか飽きてる感じがしますね。これはけして善悪ではないのですが、自分のカメラで何ができるのか知ることは大事ですよね。
それから、拡大してみるとよくわかることですが、画質にも違いがあります。イメージセンサーという受光部の大きさがデジタルカメラの方が大きいのでスマートフォンよりもしっかりとディテールを捉えることができます。ただ、スマホで写真を撮って、スマホでアップし、スマホで見られるという流れなど、結局写真が小さいままでしか使われないという場合は高画質であっても持て余してしまうので、あまり関係ないかもしれません。
ただ、撮影していてカメラマンとしては、スマホは強く光が当たっているところがカメラよりもストンと白く飛びやすいという感想を持っています。これもイメージセンサーの大きさで情報量が変わるからでしょうが、ミラーレスや一眼レフでもセンサーが大きい方が全体の明るさの階調が豊かだと感じます。その階調が滑らかにでると、急に美味しそうに見えるということではないのですが、撮り手としては写真が上質になっていくという喜びを感じますね。なんといいますが包丁の切れ味のようなものかなと思います。
正直いえば、カメラとしての能力はスマホよりデジタルカメラの方が高いということは言えると思います。しかし、スマホだから悲観的になることもなく、スマホにもいいところはあります。それは写真を撮ることから、レタッチ、SNSなどへのアップロードを一貫して一つのディバイスでできるという点です。最近ではInstagramはもとより素晴らしいレタッチ機能を搭載したアプリがたくさんあります。撮影の時にはこれしかできなかったけど、撮影後に写真のお化粧するというのもいいことだと思います。個人的にはPCでもPhotoshopをよく使っているのでそれと仕様が似ているAdobeのLightroomはとても使いやすく、ユーザーの細かなニーズに応えてくれるいいアプリだと思っています。カメラで撮ると、そのデータをPCに転送しないといけないのでスマホのような一貫性はありません。
最後にこの写真はスマホで撮影したものをLightroomで色補正して、さらにInstagramのティルトシフトでボケを加えたもの。もちろん万能ではありませんが、スマホだって結構できちゃう。教室で私の説明を聞かれてカメラを買おうかなと思う方も多々いらっしゃいますが、フェリカスピコへのスマホでのご参加も超ウェルカムですので、ご遠慮なくスマホをご持参ください!「どう!スマホでこんなに撮れたんだよ」と言うのも面白いですしね。
About Us
日本大学芸術学部卒業後、2003年に独立。広告、書籍、雑誌、web、などで撮影活動中。2011年に、フードフォト専門の写真教室「フェリカスピコ」を設立し、約4000人の受講者がいる。Apple Store表参道、渋谷ヒカリエのイベント内でのレッスンも。「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日)、「Rの法則」(NHK)などメディア出演も多数。 > 料理専門の写真教室 フェリカスピコ