湯気について

湯気への挑戦

2017/03/14

技術

こんにちは料理写真教室フェリカスピコの佐藤です。

教室でも「湯気を撮るにはどうすれば」なんて質問はよく出てきます。

撮影技術として簡単か簡単じゃないかといえば、どちらかというと難しい方の部類に入るのではないでしょうか。

私自身は本当の湯気を撮ることは問題ないのですが、湯気を作るということは、いままであまり要求をされたことはなくまだ勉強中の身です。

今日は湯気の撮り方じゃなくて、湯気の作り方についてちょっとお話していきます。

先日銀一さんで購入した発煙菅

先日銀一さんで購入した発煙菅

 

できればでも、料理から立ち上るリアルな湯気を撮りたいものですが、そうなると現実的に撮影時間が短くなりシャッターチャンスもわずかになってしまいます。広告の現場などでは湯気を作っていくという話をよく聞きますが

カメラマンからはPhotoshopで作るという話を聞いたことがありますし、そういう記事もよく目にします。以前は「ゆげ」っていうソフトもありました。でも商品パッケージなど、どれを見てもリアリティがなく、なんだか合成した感じは否めません。レタッチの湯気は手軽なんだけど、個人的にはまだなんだか気が進まないのです。

スタイリストさんからスチーマーなどで蒸気で湯気をつくったりしていることはよく聞きますし、いつかチャレンジしてみたい気持ちはあります。

でも、スタジオならともかく、ロケでそんなマシーン持ってきてまでやるか?という疑問もあります。

それから以前、ある方から湯気にこだわってドライアイスをケースいっぱいにレストランに持ってきたカメラマンがいたけど、時間かかりすぎだし完全に空気が読めてないねという残念な話を聞いたことがあります。明日は我が身、恐ろしくも参考になるご意見です。フムフム。。

開けるとこんなガラス棒が入っています。

開けるとこんなガラス棒が入っています。

 

そんな中、ついに湯気の撮影が舞い込んできました。といっても絶対にというわけではありませんが、ある飲食店の看板を撮る際に、こんなイメージと渡された写真に湯気が写っていたのです。きたか湯気!やってやろうじゃないか。

被写体はラーメンなのですが、具材もスタイリストさんに綺麗に盛ってもらいたいし、そう考えると麺がすぐ伸びるからスープも熱々じゃない方がいいよね。。盛り付けの美しさを優先させるなら、リアルな湯気は諦めた方が良さそう。。

ならどうする?どうする?
と思い出したのが、よく買い物にいく機材を扱う銀一さんに湯気出す道具があったような〜。
即カタログを確認。ありましたありました。スモークテスターセット用発煙菅
これならサイズも小さいし、手軽に使えるし「空気読めないな〜」とはならないし、いいことづくしじゃないですか。

使うときはペンチなどでガラスの先端を折ってねとお店で説明されました。

使うときはペンチなどでガラスの先端を折ってねとお店で説明されました。

 

早速、仕事帰りに月島のショップに立ち寄り、購入してきました。

こんな道具なんであるんだろ?聞けば、気体の流れの確認のためにあるのだそうです。それを撮影用に利用しているとのことでした。

なるほど。

シンプルな箱に、中には不思議な小石のようなものが入ったガラス管が6本。お値段6000円くらいなので、1本1000円くらいです。

それにシュポシュポするゴムのポンプがついてきます。使い方は簡単。ガラス菅の両先端を折ってポンプをつけて空気を送り込むだけなのだそうな。

中には塩化第二スズが使用されていて、それが酸化することで煙が出るそうなのです。根っからの文系なので、意味は不明ですが、その煙を吸い込むとむせるそうなので、使用時には換気やマスクなどが必要ですね。あと、食べ物にその煙が当たったら、それは悲しいけどむせるくらいなんだから食べない方がいいんじゃないかな。なので、本当にいただくものには使用ないようにします。

ポンプをつけてプシュプシュするだけ

ポンプをつけてプシュプシュするだけ。湯気っていうか、煙ですが、区別がつかないなら、ま、いいか。

 

で、すぐテスト。

撮影はストロボを使って行っています。湯気(煙)は刻々と形が変わっていき、どれがベストなのか瞬時に判断できないので、とにかくたくさん撮ってあとから選ぶ。となるとストロボの出力を高めにしているとチャージに時間がかかるので、ちょっとISOをあげていきます。

ぷしゅーー。駄菓子屋さんにあった“けむり”ってやつを思い出します。

ぷしゅーー。駄菓子屋さんにあった“けむり”ってやつを思い出します。

 

一回目のテストでこの感じ、なんだか期待できそうです。

と思っていたやさきに 「ごほごほ」むせました!

おお、これかすごい刺激です。説明書には“有害”と書いてあるので、やっぱりちゃんと換気とマスクは必要ですね。

正直結構なデメリットですが、メリットは小型で準備に時間がかからないこと。それで意味がある現場で使うことにします。

最後は冷めたコーヒーでテスト。

冷めたコーヒーでテスト。

 

おお、超リアル。おもしろーい。

何回かチャレンジしましたが、一本の管でたくさん煙がでますし、使いおわたら付属のキャップを閉めると再度使用できるそうです。

上の写真の湯気があまりに立派だったので、最後はPhotoshopで濃さを調節してみました。

上の写真の湯気があまりに立派だったので、最後はPhotoshopで濃さを調節してみました。

 

なにごともほどほどに、嬉しさのあまり、湯気湯気しすぎると度を越した演出になってしまうので、注意をしていきます。

なかなかおもしい経験でした。さあ、次は本番でつかってみよ。

ちゃんちゃん。

 

About Us

日本大学芸術学部卒業後、2003年に独立。広告、書籍、雑誌、web、などで撮影活動中。2011年に、フードフォト専門の写真教室「フェリカスピコ」を設立し、約4000人の受講者がいる。

Apple Store表参道、渋谷ヒカリエのイベント内でのレッスンも。「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日)、「Rの法則」(NHK)などメディア出演も多数。
> 料理専門の写真教室 フェリカスピコ

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